医薬品による治療はお金の節約に結びつく
アルツハイマー病患者へのケアは数100億KRもかかっている − しかし、そのほんの一部だけが医薬品にかかる経費だ
384億KR. これほど大きな経費がスウェーデンでは1年間にアルツハイマー病患者の医療介護にかかっている。このうち医薬品にかかる費用はたった0,5%にすぎない。もしより多くの人達が医薬品による治療を受けられるならば、社会全体では巨額の節約となろう。
現在、スウェーデン国内に住む75000人のアルツハイマー病患者のほんの一部しか、スウェーデン市場で登録されている3つの治療薬中のどれかによる投薬治療を受けていない。アルツハイマー病という病気が多いということを考慮すれば医薬品にかかる費用は安いもので、1000人の患者に1年間投薬治療をしても、必要な費用は約8万から9万KRになる計算だ。 ところが、現状では1万5000KRのレベルにある。
“ということは、十分投薬治療をしていないということが明らかです。”と、イエテボリ市のサールグレンスカ大学総合病院の臨床神経科学研究所のカイ ブレンノウ助教授は語っている。
“投薬治療の効果があるはずの患者のたった20%しか医薬品による治療を受けていません。 その理由は、アルツハイマー病をたとえば癌と同じように深刻に考えていないからだと思います。 アルツハイマー病が本当の病気ではなく、自然の老化の一部であると考えているような人達がいるような気がします。”と、カイ ブレンノウ助教授は語っている。
医薬治療が当然ではない
今秋、医薬品行政局が、アルツハイマー病の治療に関する新しい推薦項目を発表する予定だ。今日では、まだ医薬品による治療は当然のものとはなっていない。380億以上もの巨額の費用のうち、たった1億8000万KRのみがアルツハイマー病への治療専門薬に使用されているのみだ。 医薬品治療を受けられるかどうかは、患者の必要性により決められるのではないと、カイ ブレンノウ助教授は主張している。
“それよりも、治療に興味をもっている優秀な医師に会えて運が良かったかどうかということでしょう。 また、治療が十分に行われていないという理由は、医療部門が資源的に切迫しているということもあると思います。 たとえば、足が痛いといって医師を訪れ、ついでに物忘れが激しくて困るなどと話しても、記憶障害についてきちんと診察してはもらえない危険性が大です。”
今日では、もうアルツハイマー病の診断に疑いをもつ必要はない。 記憶テスト以外にも、確かな方法で、鬱病またはストレスのために記憶障害のある患者とアルツハイマー患者を区別することが出来るのだ。ムーンダール病院の神経化学実験室は全国からのテストを受け付け、脊髄液にあるアルツハイマー病特有のマーカーを検査している。 今年でも実験室ですでに3000件以上ものテストを行ってきた。
病気の進行を遅らせる
現在市場にある医薬品は、主として経度から中度のアルツハイマー病患者に使用されるものだ。 これらの医薬品は、ひとことでいえば、進行遅延剤ともいえ、病気の進行を防ぐことは出来ないが、遅らせることが出来るものだ。 そのため、日常生活が患者、介護者、家族にとって過ごしやすくなる。患者は普通に暮らせ、しかもより自主的になる。自分で顔を洗ったり、衣服を着たり脱いだりでき、食事も自分でとり、簡単な家事なども出来る。しかし、これらの医薬品は、おとろえた記憶をもとに戻したり、破壊した神経細胞を直すことは出来ない。
しかし、これらの医薬品を適切に使用することで、社会にとって多額の節約になる。特別住宅のベット一つは、年間平均で40万KRもかかっている。もし、こういった入所施設でのケアを遅らせることが出来れば、公共による医療ケア形の社会にとっては巨額の節約になる。 しかも、入所施設のベット数は、需要に比例して少ないので、患者を1年でも長く在宅でケアできれば、この1年というものが重要な意味をもつようになろう。
研究が行われている
スウェーデンでは、痴呆症患者(アルツハイマー病やその他の痴呆症)の数は約13万5000人程度といわれており、さらに痴呆症の前期にあると思われる人々もほぼ同数に近いと思われているので、こういった痴呆症ケアの費用を減少し、入所施設への移転を遅らせることは、社会的にみても大いに興味深いものであろう。まだ、現状では現在市場にある医薬品をもっと早い時期の痴呆症前期の患者に使用したらどんな効果があるかははっきり分かっていない。こういった分野での研究が行われているが、まだはっきりした解答をだすほど長期的におこなわれているものはない。
“たとえば、入所施設への移転を1年間おくらせることで、幾ら節約できるかをキチンと計算することは難しいと思います。”と、イエテボリ市内バリーシュー行政区の地区診療所の医師であり、ストックホルム カロリンスカ研究所の研究員のアンデシュ ウイモー医師は語っている。
“多分患者一人あたりで数10万KR程度でしょうが、そのかわり家族の介護負担が増すのは確かです。”と、アンデシュ ウイモー医師は語っている。
FAKTA: アルツハイマー病
痴呆症という病気のなかでは最も一般的なものだ。理由はわかっていないが、神経細胞が侵され、死滅してしまう。病気に発病する危険要素は、高年齢、遺伝的要素、教育程度が低い、高血圧、コレステロールが高い、頭を怪我したことがある、社会的に孤立している、活発でない、などだ。
予防的な要素は、炎症、高血圧、高コレステロールなどの治療薬品。1日に1−2杯の赤ワインを飲むことなども病気の予防になると思われている。
全国平均のアルツハイマー病患者への医薬品による治療費用は、年間1000人あたりで1万5000KRとなっており、十分ではない。
出典:カイ ブレンノウ
アルツハイマー病の最初の兆候は記憶障害だ。脳の変化は常に海馬 − 脳の記憶と学習の中心 − から始まる。それ以後、病気は脳のその他の部分にも広がってゆく。
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