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アルツハイマー病
ルーネ ウストバリさんは63歳の時にアルツハイマー病だという病名診断を受けた。4後の現在も、もう仕事は出来ないし車の運転も出来ないが充実した生活を送っている。
“私は物事をポジテイブにとらえる人間ですから、将来についてあれこれ心配したり悩んだりはしません。”
“私の人生は良いものだと思っています、、、、アルツハイマー病にかかってはいますが。”
私達がルーネさんを訪問したときに、ルーネさんは家に一人でいたので、私達の質問へ回答するのに手伝ってくれる人は誰もいなかった。年月日を覚えていなかったり、時々話しが繋がらなくなったりするが、それでも結構うまく会話を進めることが出来た。中断した時には途中で少し手伝えば、また話しをつなげることができた。
アルツハイマー病は、患者やその家族を一番不安や悲しみで一杯にさせる病気の一つなので、私達はこの問題を注意深く質問したが、ルーネさんは全く理解できないという風だった。
“私は病気だとわかっても落ち込んだことはありません、もちろん悲しくて泣きはしましたが。”
ルーネ ウストバリさんはストックホルムの南で生まれ育った。高校時代の先生の影響で芸大の広告部門に進もうという気持ちになった。卒業後は長い間様々の広告代理店で広告関係のイラストレーターとして仕事をしてきた。芸大で結婚することになる女性と出会い、その人と結婚し子供が2人生まれたが、今は離婚している。
約5年ほど前にルーネさんは何かがおかしいと気付いたそうだ。当時は、新しいガールフレンドと知り合い、ヘルシングボリという町に住んで仕事をしていた。イラストを描こうと思って机の前に座っても何を描こうとしたのかを忘れてしまったのだ。また、バスで帰宅する途中で迷子になったり、特に人の名前を忘れてしまうことが多くなったそうだ。
“上司と話しをしていたときに、その上司の名前を思い出せない時には少し困りました。”
退職手当と年金貯金のおかげでルーネさんは早期年金生活者になることが出来た。そこで、ルーネさんはストックホルムに戻りたくなり、ストックホルム南部のオーシュタにアパートを見つけることが出来た。“引越しはかなり大変でした。いわれたことをしようと努力して、物をあちこちに移したりしましたが、何をしても上手くゆきませんでした。 おかげで私とガールフレンドの間も気不味くなり、とうとう分かれることになってしまいました。彼女の気持ちも良くわかります。これ以上辛抱できなかったんですよ。”
しばらくしてからルーネさんはサンクト ヨーラン病院で検査を受けることができた。様々の検査の後に、アルツハイマー病という痴呆症であるという診断を受けた。
“アルツハイマー病が何を意味するのか全く理解できませんでした。それは、アルツハイマー病についても痴呆症についても何も知らなかったからです。”
ルーネさんはフッデンゲ大学病院の老人病科に通うようになり、ここで病気の進行を遅らせる新しい薬を処方された。ルーネさんはまだ今でもこの薬が効果的であると思っている。
最初の1年ほどの間は、ルーネさんはまだ車を運転することが出来た。運転試験は2回パスしたそうだが、3回目のテストの前に車の運転をあきらめた。
“車の運転をやめることはそれほど難しいことではありませんでした。もし、自分が誰かを怪我させるような事故を起こしたらと考えただけで、耐えられなくなったからです。”
インタビュー中にもルーネさんの話題は絶えず自分の絵に移ってゆく。仕事をしていた時代にもずっと絵を描いてきた。明るく光にみちあふれた夏の風景で、ストックホルム近郊の島々のものが多かった。病気になってからの、最高の出来事は、ボーヒュ-ス県のイエテボリ学校のアーネ イサクソンの水彩画教室に参加できたことだ。
“その当時は、まだ自分の病気について皆には話してはいませんでした。しかし、ある夜、自分でいくつか要点を書き留め、次の日グループの皆に自分の病気について話しました。自分でも本当に気が楽になったし、非常に印象的な出来事でした。教室の仲間の女性達は私を抱きしめてくれ、涙を流してくれました。男性達はそのときはなにも言いませんでしたが、その日の夕方には背中をたたいて「ルーネ、よくやったよ。」と言ってくれました。”
ルーネさんはアルツハイマーという病気について皆に説明し、病気にもかかわらず引き続き充実した日々が送れるということを示すことは、重要だと感じている。痴呆症連合の支援を受け、「痴呆症になりかかっている」という短い映画を作り、痴呆症連合のために、あちこちに出かけ講演をしている。
“それに、痴呆症連合の新聞の第一面のイラストを数回担当しました。誰かの役に立つと感じることは素晴らしいことです。”
講演会では、ルーネさんは、宣伝の文章とか、14時においでくださいなどという病院からのお知らせなどの問題点について話しをしている。こういう表現を理解するには、痴呆症患者には難しい抽象的思考力が必要です。午後2時とすれば、簡単に理解できるのですと、ルーネ オストバリさんは主張している。
ルーネさんは自分の将来は考えないようにしている。現状では、自分のアパートで自立して生活しているし、新しいガールフレンドもできたし、身体的にも活動的な日々を送っているし、孫のマーリンとカロリーナと会うのを楽しみにしている。
“孫達が遊びにきてくれる時は本当に楽しいものです。2人は私と一緒にいろいろなことをしたがるんです。”
正しい食生活と運動で予防できる
正しいライフスタイルでアルツハイマー病を予防できる。心臓や血管を保護するためと同じアドバイスが脳をも保護するのだ。
研究者達はながいこと、様々のライフスタイルがアルツハイマー病の発病のプロセスに影響を与えているのではないかと疑っていたが、それを証明することが出来ないでいた。しかし、現在では様々の確信的な研究調査の結果、確かに疑いは正しかったと言えるということが判明したと、ストックホルムにおける国際会議で発表された。
最も長期的な研究調査はフィンランドで行われたものだ。21年間にわたって、カレーレンの1500名の任意で選ばれた人々が定期的に血圧と血液中の脂肪分の検査をうけてきた。最新の検査は1998年度に、調査の対象者が65歳から79歳の時に実施された。50%強の人々がアルツハイマー病に罹っていた。
20年前に血液中のコレステロール値が高かった人は、アルツハイマー病に発病する危険性が2−3倍も高いことが判明した。さらに、以前血圧が高かった人も同じくアルツハイマー病発病の危険性が高いことが判明した。血圧が高く、しかも血液中の脂肪分が高かった人の、アルツハイマー病発病の危険性は4−5倍も高いことが判明した治療が効果的であるということは、ドイツの製薬会社の約40名のアルツハイマー病患者を対象としたものだ、半分の患者には血液中の脂肪分を低下させる医薬品を用いて治療した調査から判明している。治療を受けた患者の記憶は6ヶ月後でもそれほど悪化していなかったが、治療を受けなかった人たちの記憶は驚くほど衰えていた。
研究者達にも現状では、何故血液中の脂肪分が高いということが危険であるかについてのはっきりした理由は判明していないが、アルツハイマー病患者の脳にアミロイドの老人班という蛋白質の塊りが結成されるにはかなり多量のコレステロールが必要なのであろうと解釈している。
アメリカとヨーロッパでのはじめての人を対象としてのテストは、テスト患者300名中の15名が脳膜炎を発病したので中断しなければならなかった今春の深刻な打撃にもかかわらず、予防薬についての希望はまだ残っている。
患者達は脳にアミロイドの老人班が結成されるに必要な一つの成分の注射を受けた。それは、マウス テストによると、体の免疫作用によりこの成分への抗体が結成されて老人班を攻撃し破壊するという結果が判明していたからだ。人体実験でも、基本的な考え方は上手くいったが、テストをこれ以上継続するには、深刻な副作用の原因を究明しなければならない。
“それからマウスでの実験をやり直さなければなりません。マススから人間へのステップは大きなものです、しかし、10年以内ぐらいにはアルツハイマー病の予防薬が完成すると信じています。”と、フッデインゲ大学病院のベンクト ヴィンブラード教授は語っている。
現時点では、軽度から中程度のアルツハイマー病患者の治療のために病気の進行を遅らせるタイプの薬が3種類ある。重度のアルツハイマー病患者への治療薬が一つ、つい最近ヨーロッパでは使用許可になったので、来年早々には使用開始が予測されている。後続する新薬はしばらく期待できないが、研究者達は、現存の医薬品に予防薬などを組み合わせての治療について話しあっている。たとえば、抗酸化剤、抗炎剤や血圧降下剤などだ。
また、レントゲン技術を使用し脳の写真をとるいくつもの方法が開発されてきた。一つの方法によると、最初の症状が表れる数十年前にすでに病気のサインが見られるとのことだ。この方法の利点は、非常に早い時期から治療に着手できるが、欠点は、これといった治療薬の決め手がない状態で、これほどの早期診断を下すという困難な倫理的なジレンマだ。
“研究開発は非常な勢いで進んでいます。10年前には治療薬は何もありませんでしたが、今では4つも許可された医薬品がり、しかも予防薬が生まれつつあります。それに、病気は予防できるということが判明していますし、それより何よりも、どのように研究していくかというビジョンがあります。”と、ベンクト ヴィンブラード教授は語っている。
Ica-kuriren 40/02
FAKTA
Alzheimer
アルツハイマー病は最も一般的な痴呆症だ。スウェーデンでは約15万名の人々が痴呆症に罹っている。病気は通常65歳以後発病するが、65歳以下の若い人達にも発病している。
病気は慢性的で忍び寄るようにやってきる。最初の症状としては記憶の悪化、空間見当識の低下や理論的、抽象的思考の劣化。さらに、自分の意志表示や言語を理解することが段々出来なくなってくる。
これらの症状は、脳細胞の多くが損傷をうけ死滅することにより発生する。特に、記憶、知的能力や感情面などをつかさどる領野の細胞だ。
アルツハイマー病には家族性のものもあり、遺伝的因子については調査が行われている。若い頃からの高血圧や血液中の脂肪分の高さも発病の危険性をます。
患者と家族が症状を説明することにより病名が診断される。患者はいくつものテストを受け、さらに神経系統も検査される。さらに脳のコンピューター撮影や、脳断層撮影なども使用される。
アルツハイマー病はまだ十分診断がされていず、治療も十分に行われていない。たった15000人程度の患者しか、病気の進行を遅らせる治療薬での治療を受けていない。
牛肉や豚肉のかわりに、脂肪分の少ない、果物や野菜、魚や鶏肉を多くとる食事が発病を予防すると思われている。また、週に数杯のワインなどの適量のアルコールも良いとされている。アルコールの飲酒量が多いと発病の危険性がます。
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